准看護師

准看護師、デイサービスのお仕事はどう?



准看護師として働く職場は病院だけではありません。看護の知識やスキルを必要としている職場や、社会からの要請は増加しているのです。

近年の高齢化社会の進行によって、内科の病気はないけれど、体を動かしづらく、日中をどう過ごして良いのかわからないお年寄りが増えています。元気な老後を過ごすためには、看護の知識を持っている人のサポートが重要で、そうしたお年寄りをケアする場所として「デイサービス」という施設があります。


ここでは、デイサービスと言う職場について、准看護師として働く新しい職場の候補であることを知っていただければと思います。「准看護師だからこそ」できるということが、ここにはあります。


デイサービスとは?



まず、「デイサービス」が何かを説明いたします。デイサービスは、簡単に言いますと、「寝たきりではないお年寄りが、日中、レクリエーションやリハビリを行いながら、体と頭の機能を維持、向上させる」ための施設になります。

と書いても、難しいかもしれません。要は「お年寄りの学校」です。楽しんで、他のお年寄りと交流を深めることで、孤独感を解消し、体の機能低下を防ぎ、認知症などを予防するというところです。


デイサービスを利用できる人は誰?

デイサービスはお年寄りであれば、誰でも利用できるというわけではありません。介護、リハビリ施設と言う意味合いもありますので、条件があります。

具体的には「要介護認定1~5」を受けた方に限ります。年齢条件はないので、例えば60代であっても病気などで介護が必要な方は、デイサービスに通うことができます。


ちなみに要介護認定の基準は以下のようなものです。

要介護1 (部分的な介護) 歩行等の部分的な介護が日常生活で必要
要介護2 (軽度の介護)  歩行・排泄・食事等の部分的な介護が日常生活で必要
要介護3 (中程度の介護) ほぼ全面的な介護がないと日常生活が送れない
要介護4 (重度の介護)  介護がないと日常生活がほぼ送ることが難しい
要介護5 (最重度の介護) 介護がないと日常生活を営むことができない

要介護認定4~5の方はほぼ寝たきりと言ってもいいと思います(介護がないと亡くなってしまう状態です)。実際にこのレベルの人がデイサービスを利用することはあまりないようで(何もできないわけですから)、それ以前の段階の人が、リハビリを行って体の機能を維持、回復させるケースが多くなっています。


なお、要介護一歩手前の「要支援」の方のデイサービスは「予防通所」と呼ばれる別のデイサービスになります。

デイサービスは介護保険によって運営されているため、健康保険の場合と同様に利用者は一部を負担するだけで済みます。また、介護度が高い(症状が重い)人ほど、必要とする介護が多くなりますので、負担額は増えます。

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デイサービスで行うこと



デイサービスではどのようなことが行われているのでしょうか。具体的には以下のことを中心にプログラムが組まれています。

①送迎
自分の足でデイサービスに通うことは、健康なお年寄りであってもなかなか大変なことです。まして、要介護認定のお年寄りが通うことはほぼ不可能です。家族の負担を減らす意味でも、バスなどで送迎をしています。

②健康管理
定期的に健康診断を行っています。血圧や体温などを毎回測定し、体調に変化がないか把握します。特に不調がある場合は、問診などを行い、場合によっては病院との連絡も取ります。

③リハビリ
パーキンソン病といった神経系の病気でなければ、リハビリを行うことで、ある程度体の状態を維持、回復させることができます。専門の作業療法士や理学療法士の指導の下、無理のない範囲でリハビリのプログラムが組まれています。自発的な参加を促していきます。

④レクリエーション
通っている利用者同士で交流を深めることは、生きがいにもつながります。一緒にトランプをしたり、昔の歌を歌ったりすることで、脳も活性化し、認知症などの予防効果も期待できます。

また、季節ごとの行事、お花見やクリスマスパーティなど、イベントも積極的に行います。楽しみながら、生きがいを持っていただき、脳を使って老化を予防するという効果を期待します。何より、楽しみがあることで、長くデイサービスに通ってもらうことができます。

⑤食事
やはり食事は大きな楽しみの1つです。専門の栄養士などが管理をして、バランスの良いおいしい食事を提供します。もちろん、その人に応じてダメなメニューもありますから、ある程度柔軟性を持たせます。15時におやつを出すところも多いですね。

1人で食べることが難しい人には、食事の介助も行います。

⑥入浴
家庭のお風呂では、なかなか入浴設備が整わず、体が不自由なお年寄りに入浴してもらうことが難しいケースがあります。デイサービスでは特殊浴槽も完備しているので、気持ちよく入浴してもらうことができます。

以上のようなサービスを、「ケアマネジャー」主導でプログラムを組み、実施していきます。

デイサービスで働く人たち



デイサービスで働くのは介護士だけではありません。色々な立場の人が協力しています。

・ケアマネジャー
都道府県認定の公的資格です。この人がいないとデイサービスを運営することができません。サービス内容を立案し、介護保険利用の手続きができる立場の人です。

・介護士
デイサービスの主戦力です。実際にお年寄りの介護を行います。

・作業療法士、理学療法士
リハビリの実際の訓練を行う人たちです。適切なプログラム、適切な用具を使用するために不可欠です。

・栄養士
食事やおやつのレシピを考え、バランス良く栄養を摂取してもらうために不可欠な存在です。

・看護師、准看護師
利用者の健康管理や、何かあった場合の対応、判断を行います。詳しくは次の項で解説します。

・事務員
事務一般を行う人たちです。様々な場面の応援を行うこともあります。

このような人達が協力してデイサービスの運営を行うことで、安心してお年寄りが利用できる環境を作ります。


デイサービスで働く准看護師の仕事について



それでは、デイサービスでの准看護師はどのような仕事があるのでしょうか。


准看護師の仕事の概要

准看護師は、病院と同様に正看護師と同じような位置づけで、デイサービスでの仕事も正看護師とほとんど同じです。

①健康管理、投薬管理
利用者の健康管理が主業務です。血圧や脈拍、体温などに大きな変化はないのか、しっかりとチェック行っていきます。何かあれば家族に連絡、場合によっては病院などとも連携を取っていきます。

また、日々の利用者の薬の管理もします。多くの薬を飲んでいる人もいますので、誤飲や過飲を防ぐために管理をして、適切な量を適切な時間に飲んでもらうようにします。これも広い意味で健康管理ですね。

②何かあった場合の対応
利用者が突然倒れてしまった、急に苦しみ出した、といったケースが起こり得るのがデイサービスです。病院ではないので、医師の下での看護行為はできませんが、状況を把握して、病院に連絡、救急車を呼ぶ、応急措置を施すなど、1次対応を行うことが必要です。

③他のスタッフへのヘルプ
基本的に看護師、准看護師に求められるのは以上ですが、人手が足りない場合、介護を手伝ったり、レクリエーションに参加したりすることを求められることがあります。

<関連記事>: 准看護師と正看護師の違いって何?


デイサービスで働く准看護師のメリット



以上の業務内容を理解していただいた上で、デイサービスで働くメリットをお話しします。

①緊迫した医療の場面がない
病院ではないので、重病の人や生死を分けるような緊迫した場面に遭遇することはまれです。病院では精神的にストレスが重いと感じる人は、デイサービスだとそれを感じずに仕事をすることができるかもしれません。

②仕事が多忙ではない
基本的には、ゆったりとしたペースで仕事ができます。病院看護師のように急患がある、緊急手術になるなど、忙しく働く場面は少ないです。

また、デイサービスなので利用者は夕方には帰宅します。夜勤は基本的になく、残業もあまりありません。有給休暇も取りやすい環境にあります。


デイサービスで働く准看護師のデメリット



一方、デメリットも存在しています。

①給料が安い場合が多い
看護師の平均年収は約470万円ですが、デイサービスの場合、それよりも低いケースが多いようです。病院ではないので、診療報酬ではなく、利用料と介護保険から給料が支払われます。それほど財源は多くない事、夜勤(手当)がなく、残業も少ないためその分、手当の加算がないのです。

また、ここでも正看護師と准看護師間の待遇格差がある場合があります。同じ仕事でも准看護師なので、給料が低いケースがあります。

②本来業務ではないことをする
上でも書きましたが、健康管理など以外にも、介護の手伝いやレクリエーションへの参加、その他事務作業をお願いされる場合があります。断ることは難しいでしょうし、介護士と比べて介護のスキルが低いのは当然です。そうした、自分には向いていないことを行うことがストレスになる可能性があります。

③看護師としての腕が鈍る
デイサービスに勤務していると、注射や点滴などを打つ看護行為を行う機会が少なく、技術が衰えてきます。ずっとデイサービスに勤めれいればいいのですが、仮に将来的に病院に戻った場合、以前のような勘を取り戻すのに時間がかかるケースも考えられます。

病院とデイサービスでは、業務が異なる部分が多いということを理解してください。


このようにメリット、デメリット双方存在しますので、ご自身の働き方や生活習慣などを考慮して、転職されるかどうか判断してください。


准看護師のデイサービス求人について



准看護師としてデイサービスで働くことを希望する場合、具体的にどのような待遇なのか知りたいですよね。例えば以下のような求人があります。


求人1 都市部の有料老人ホーム

■雇用形態:准看護師 (正社員)

■給与
正看護師 260000円~295000円
准看護師 235000円~270000円
別途オンコール手当あり

■勤務交代形態:日勤のみ

■勤務時間:09:00-18:00 (夜勤なし)

■休日・休暇
・4週8休制
・有給休暇
・季節休暇
・年間休日110日

■福利厚生・待遇
・昇給年2回(必ず有り)
・賞与(ボーナス)年2回(平均実績2.0~4.0ヶ月分)


求人2 郊外の小規模デイサービス(非常勤)

■職種・雇用形態:准看護師 (非常勤)

■給与:准看護師:時給1200円~

■勤務交代形態:シフト(1日のうち数時間)

■勤務時間
日勤 08:30~17:30(休憩:60分)
パートタイム(上記の時間のうち数時間)


求人3 スポーツを取り入れた特徴のあるデイサービス

■職種・雇用形態:准看護師 (正社員)

■給与
正看護師・准看護師共通 220,000円~285,000円 (面接による)

■勤務交代形態:日勤のみ

■勤務時間:08:30~17:30(休憩60分)
※残業 月10時間程度

■休日・休暇
週2日休シフト制 
日曜定休 年間休日124日
慶弔休暇・育児・介護休暇・産前産後休暇あり


求人を上手に選ぶためには転職サイトを活用



3件求人のサンプル(抜粋)を掲載させていただきました。求人によって休日や給与が微妙に異なっていることが分かりますし、非常勤(パート)という働き方もありますね。

多くの求人の中から、ご自身の希望に沿ったものを選ぶためには、看護師専門の転職サイトの活用をお勧めいたします。

各転職サイトには、上のように各条件が細かく書かれているため、簡単に比較でき、通いやすい場所、働きやすい条件をピックアップすることができます。転職サイトを使わずに探すとかなり大変ですので、まず、登録していただき(無料です)、どのようなものなのか現状を知っていただくと良いかと思います。

まとめ

  • 准看護師の職場としてデイサービスという場所がある
  • デイサービスでの仕事は、利用者の健康管理や薬剤管理
  • 忙しさは病院ほどではない
  • 本来業務以外のことを行う場合がある
  • 給与は低めなので、良い条件のデイサービスを探したい
  • 看護師専門転職サイトの活用で求人が探しやすい

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