准看護師が廃止になるって本当?
准看護師制度が廃止になるという噂があります。もし本当だとしたら准看護師として働いている人にとっては、職を失うことになり死活問題です。
答えからいいますと、NO、准看護師の人はそのまま准看護師として働き続けられます。
ただし、そうしたうわさが出るにはそれなりの根拠がありまして、ここではなぜそのようなうわさが出てきたのかを負っていきます。
准看護師が廃止になるという噂について
もともと准看護師制度の成り立ちから考えてみますと、戦後の混乱期、人口急増期に看護師だけでは足りないということで、それよりも簡素なカリキュラムを終えた人に、看護師に近い業務を可能にする資格として、准看護師制度ができました。
学校での「代用教員」などもそれと同じような理由でしたが、混乱期を乗り越えると一段落して、正規の教員だけで十分になりこの制度も廃止になりました。
准看護師制度も同じように役割を終えたのかと思いました、存続しました。そこには医師たちと看護師たちの意見の相違があったようです。
地位と待遇
正直な話、正看護師の養成課程だけで必要な看護師を満たすことは可能なのですが、そこに医師と看護師の対立があったようです。
○看護師の意見
准看護師は正看護師と比べて劣っている印象受ける。看護師の地位向上のためにもすべて正看護師にするべき。
○医師の意見
街のクリニックなどでは儲けは少ない。准看護師は正看護師と比べて安価で雇えて、業務も同じようなことができるため、この制度を続けたい。
このような意見の対立が国や行政も巻き込んで、長年続いていて、「なんとなく」准看護師制度が続いてきているというのが実情のようです。
准看護師がなくなるという噂がなぜ起きたのか
正看護師と准看護師の資格の違いを考えていただくとわかりやすいのですが、正看護師は国家資格なのに対して、准看護師は都道府県知事の認可による「地域の資格」です。准看護師の要請に際しては、地方自治体が補助金などを支払っています。
同じものではありませんが
正看護師=国家公務員
准看護師=地方公務員
と考えると、准看護師には地方自治体のお金が必要だということがわかります。
そこに、
①准看護師希望者<正看護師希望者(ニーズの縮小)
②地方自治体の財政難
を合わせると、自治体のほうで、准看護師養成のための補助はあまり意味がなく、やりたくない=見返りがない、という結論に達します。
そのような考えから、ある県が准看護師養成のための補助を打ち切ると決定したのが、准看護師制度がなくなってしまうという噂につながりました。噂は尾ひれがつきますから、話が大事になるのです。
<関連記事>:准看護師って求人で不利な扱いを受けない?
実際は資格がなくなるのではなく、養成課程の廃止の方向
国が准看護師の資格の根拠となる「保健師助産師看護師法」の准看護師部分が改正、あるいは削除となるような話は今のところ出てきていません。
あくまで地方自治体の判断として、そこの准看護師養成課程が廃止されるところが出てきているということです。
ただし、ある県で准看護師養成課程が廃止になったからといって、その県で取得した准看護師免許は他県でも有効ですし、他県の准看護師免許であっても准看護師養成課程が廃止された県で准看護師として働くことも可能です。
・准看護師は今のところなくならない
・都道府県の中で准看護師の養成を止めるところが出てきている
・1度取得した准看護師の免許は全国どこの都道府県でも有効
・採用されるかどうかはその医療機関の判断(通常の採用と同じ)
ということです、准看護師の人は安心してください。むしろ、ライバルが減るのでよい機会だと考えておくと楽ですよ。
そもそも、既に資格を持っている人のその資格のはく奪は考えらえません。憲法で保障された職業選択の自由や、財産権の不可侵に違反する可能性がありますし、今これで生活している人の職を奪うことは、実務レベルでありえませんので安心してください。
なお、准看護師の人で10年以上の実務経験のある人は、正看護師に転換できる制度もあります。試験に合格しないといけませんが、転換すればより身分も収入も保障された正看護師になることができますので、合わせてご検討いただければと思います。
<関連記事>:准看護師と正看護師の違いって何?
今後、准看護師は介護の世界で活躍が広がる!?
高齢化社会が進行し、介護が必要なお年寄りが今後増加することは明らかです。ヘルパーさんなどの介護職のニーズも高まるわけですが、肉体労働が多くなかなか続かない、待遇もよくないというのが社会問題になりつつあります。
待遇が悪く辞めていくヘルパーの代わりを准看護師の人にしろということでは全くありません。そうではなくて、看護や医療の知識を持っている人は、この分野で重宝されるということです。病院以外にも准看護師資格を持つ人の需要が高くなっていきます。
実際に介護をするのはヘルパーだとしても、その介護の指示や何かあったときの対応、薬の飲ませ方などは、専門知識を有している人ではないとわかりません。そうした介護の「司令塔」を准看護師の人に担っていただくのです。
ひょっとすると多少は介護の実務を行うこともあるかもしれませんが、求められているスキル、能力は看護、医療の知識ですから、それを活かすような職務内容になるはずです。これは准看護師だけではなく、正看護師の人にもいえること。正看護師の人も介護分野でのニーズは同じように高まっていくものと思われます。
正看護師=医療、准看護師=介護、のようにすみわけをさせたがる人がいるかもしれませんが、それは適切ではありません(准看護師の人が介護に特化したカリキュラムを受けているわけではありませんので)そうではなくて、新しい活躍のフィールドとして介護の分野が出てきていると解釈してください。
そこで、どうやって介護の分野で就職すればよいかという話になります。直接、介護施設の求人を探すという方法もありますが、効果的なのは看護師(正、准ともに)向けの転職サイトです。
病院やクリニックの求人が多いのですが、最近は介護施設の求人も出てきています。今ならば、介護施設の転職サイトへの募集は黎明期なので、意識の高い待遇のよい介護施設が募集を出している可能性があります。
だいたい、よりよい人材を求めているところは何事に対ししても、打つ手が早いので、こうした転職サイトへの対応も迅速なのです。
転職サイトでは、ほかの介護施設や、病院、クリニックなどの待遇や労働条件を比較して応募することができます。無理に介護の分野に限定することはありません。でも、准看護師の資格をよりアピールできる分野として介護は魅力的なものになり得ます。
おそらく、今後准看護師の養成自体が拡大することはないと思います(なくなるのとは別の話です)。准看護師は正看護師に比べてカリキュラムに余裕がありますので、介護の勉強を合わせて行うこともできるかもしれません。
既に准看護師として活躍されている方には、あまり関係のない話ですが、今後准看護師の資格に+αの付加価値をつけるために、(法律とは別に)介護の内容をカリキュラムに取り入れるところが出てくるかもしれません。
地方自治体からの補助金頼みのところもありますので、そういう要請があればそのニーズに応えることもあるかもです。
そうした大人の事情は置いておいて、准看護師の資格は問題なく使えますので、既存の医療系だけでなく、介護系なども合わせて、さまざまなフィールドを検討していただくのも1つの方法だと思います。転職サイトはその一助となるものかもしれません。
まとめ
- 法律レベルで准看護師資格がなくなる動きは今のところない
- たとえなくなっても、既に持っている人の資格は生かされる
- 都道府県単位で准看護師養成課程を廃止する動きが一部にある
- 既存の医療分野以外でも介護など准看護師が活躍できる場が広がっている
- それらいろいろな選択肢を見つける意味でも転職サイトは有効