准看護師

准看護師の派遣、勤務先選びの注意点



派遣社員という働き方はよく聞きますが、実は准看護師にも派遣で働くという働き方があります。これは、通常の常勤とは違うメリット、デメリットがあり、ご自身のライフスタイルに合わせてこの働き方を選ぶことができます。

ここでは派遣で働く准看護師について考えてみたいと思います。


准看護師が派遣として働くメリット・デメリット

派遣で働くことを規定している「労働者派遣法」では、適用除外職種として看護師(准看護師を含む)が規定されています。大原則は、准看護師の派遣業務は禁止なのです。ではなぜ実際に派遣で働く准看護師がいるかといいますと、例外項目があるからなのです。

現状、派遣で働く准看護師はその例外項目の業務となります。派遣でもOKという例外項目は大きく分けると、以下の通りになります。


1.介護施設での業務

老人ホームやデイサービスなどの施設での仕事です。実際に医療、看護業務が少ないことで、派遣労働が可能になっています。

2.紹介予定派遣

詳しくは次の項で述べますが、就業中、あるいは終了時に職業紹介を行うことを予定したもの、言い換えると、派遣期間終了後に双方が合意すれば派遣先との直接雇用が可能になる方法です。実際にはいろいろ解釈されています。

派遣での働き方についてはいろいろな問題も指摘されていて、脱法的なことも多いのは事実ですが、ここでは働くほうのメリットを活かせるような方法について考えていきます。


パートと派遣の違い

派遣も時給で働くのだからパートやアルバイトと変わらないじゃないかと思う人もいるかもしれません。時間を有効に活用できる働き方としては同じようなイメージがありますが、決定的に違うのはその労働契約です。

パートは雇用先(病院など)と直接契約します。本当はあってはならないことですが、病院が契約にないことを強いることがあっても、それを外部に訴えることはなかなか難しいものがあります。「嫌なら辞めて結構」といわれればそれまでというのがパートになります。

一方で派遣の場合は、契約しているのは派遣会社です。派遣会社との契約と実際の現場での業務にかい離があった場合、派遣会社に「おかしいじゃないか」ということができます。派遣会社というクッションを介入することができるので、労働条件的に「泣き寝入り」することは減ります。


派遣で働くメリット



これらを踏まえて、派遣で働くメリットを考えてみましょう。


1.時間的余裕

一般的な派遣社員と同じように、過剰な残業なども少ない傾向にあり、休みも取りやすくなっています。上で書いたように契約は派遣会社とするものですから、派遣先も過剰な要求はできません。

2.勤務内容を限定できる

直接雇用の場合は途中で部署の移動や、担当業務の変更がありますが、派遣の場合は「この業務で派遣します」という契約なので変更がありません。手術室や緊急外来など負担が大きいところは初めから外すことができます。

3.比較的安定した収入

直接雇用の常勤看護師に比べれば収入は低くなりますが、もともと看護師の収入は高いですので、生活していくには十分です。安定した収入を派遣の形態でも十分に得ることができます

4.余計な雑務や責任がない

責任のあるポジションになることもありませんから、精神的に楽です。内部の会議などへの出席もあまりありません。あくまで、看護業務だけを行って余計な仕事を回されることはありません。

5.人間関係が楽

ドロドロとした内部の人間関係に煩わされることもありません。勤務先の行事や飲み会など日本的な職場慣習が嫌な人にはこの働き方はお勧めです。


派遣で働くデメリット



一方でデメリットも存在します。


1.福利厚生、待遇がよくない

派遣社員には基本的にボーナスはありませんし、退職金などの保障や福利厚生も弱いです。派遣会社経由の有給休暇はありますが、場合によっては直接雇用されている人のほうが日数が多いなど条件面で劣る場合もあります。

また、契約の更新時に時給が上がる可能性はありますが、日本の派遣労働の現状を考えるとあまり期待はできません。

2.長期の身分保障がない

派遣看護師を雇う側の最大のメリットでもありますが、派遣の場合、直接雇用の人に比べて簡単に首を切られてしまうということになります。次の契約をしないといわれればそれまでです。

また、同じ職場で3年以上雇用される場合は特別な条件が必要になります。日本の場合、かなりグレーゾーンの運用がされていますが、原則として派遣の身分のままで長期間同じ職場に雇用されることは難しいとう建前です。

このようなメリット、デメリットがありますが、准看護師の場合原則として派遣労働は認めていないという特殊事情がありますので、次の項で詳しく説明していきたいと思います。

<関連記事>:准看護師のパート勤務ってどう?



准看護師の求人について



派遣で働く准看護師の求人について見ていきます。まず、看護師、准看護師の特殊性について触れます。


看護師と紹介予定派遣制度

看護師、准看護師はその業務の専門性、特殊性ゆえ誰でもいいというものではなく長らく、病院等医療機関での派遣業態での就労が禁止されていましたが、平成16年に規制が緩和されて、「紹介予定派遣」という形態をとれば派遣で働くことが可能になりました。

紹介予定派遣とは?

派遣会社登録後、正規雇用の可能性のある医療機関などを紹介され、そこで働きます。派遣される期間は1ヶ月~最長6ヶ月となっています。派遣期間が終了すれば正社員として働く前提が必要になります。短期のバイト感覚では制度上はダメということです。

派遣期間終了時に准看護師と病院双方で、直接雇用の意思を示すと正式に採用されます。継続の意志が双方になければ直接雇用はなされません。

介護施設など医療行為の伴わないところでの派遣労働は通常のように可能です。派遣労働の例外をまとめると以下のようになります。

①紹介予定派遣
②病院・診療所以外の介護施設、老人ホームなどの業務
③産前産後休業、育児休業、介護休業中の看護師の代わりに勤める

医師の場合さらにへき地や離島の勤務も可能になります。


制度上はこうなっているのですが、日本の派遣制度全般を考えてもわかるように、そのまま直接雇用されるケースはそれほどありません。病院側がNOを示せばそれで直接雇用はされないわけですし、働くほうもそれを希望していないケースが多いのです。

一般の事務職の場合、派遣社員は正社員になれなかった人が仕方なくというケースが多いわけですが、看護師、准看護師はそもそも求人が多いので求めれば正規雇用は容易です。従って、派遣を選ぶ場合は、組織にとらわれない自由な生き方をしたい人が選ぶ場合が多いようです。


もう1つ、派遣の場合、通常は職場の人は「誰々さんをお願いします」ということはできないのですが、紹介予定派遣では事前に面接や履歴書で個人を特定し、派遣会社に依頼をすることが可能です。つまり、名指しで指名される場合があります。どこかのテレビドラマではありませんが「派遣のプロ」みたいな生き方ができます。

求人内容、時給等

派遣で働く場合、その求人ですが、

①もともと許可されていた介護施設など
②紹介予定派遣で働く場合は、看護助手


が圧倒的に多くなっています。雇う側としても何かあった時のリスクを考えると、手術室などの重要な仕事はあまり任せられない場合が多いようです。これはパートやアルバイトの場合と同じです。

派遣される側も事前に仕事内容は了解していますので、あまり負担の大きそうな仕事は避けることができますし、そのための派遣労働でもあります。


また、夜勤など正規雇用の看護師が避けたがる時間帯の求人も多いです。その場合、夜勤に限定して働くという選択肢もあります。

一方で、本当に専門性を求める場合、その業務だけをやってもらうプロを派遣で雇う制度もあります。「オペ室応援ナース」などの制度がそれで、手術室など極めて高い専門性を必要とする場合、あえてそのスキルに特化した人を派遣してもらうというものも出てきています。

この場合は、時給は非常に高いものになりますし、要求されるものも大きいです。


そのようなケースを除くと、派遣の准看護師の時給は2000円前後のようです。正規雇用の准看護師の時給がボーナスも考慮すると2300円程度なのでそれほど変わりません。雑務や目に見えない労働などを考えると派遣のほうが割に合うという考えもできます。

ちなみに通常の事務職の派遣社員の時給は1200円程度なので、看護師、准看護師は非常に高いということになります。

<関連記事>:准看護師って求人で不利な扱いを受けない?



准看護師が高い時給を狙える職場は?



平均すると正規雇用の場合よりも時給は安くなりますが、身分が自由ということをむしろ積極的に活用して、高収入の案件を単発で渡り歩くというやり方もあります。

一般的に収入が高く(かつ専門性があまり必要ない)、割のいい求人は以下のようなものがあります。


①夜勤専門

夜勤専門派遣看護師という働き方もあります。1回の夜勤で30000円近い収入になることもあります。日勤と夜勤も組み合わせて「夜勤もOKの准看護師」となるのか「夜勤専門」になるのかは本人の選び方です。

②検診

企業や自治体の健康診断を手伝う看護師です。医療行為もやっても採血くらいですので負担も軽くてお勧めです。健康診断は単発ですので、都合のいい時に行うことができます。収入は3時間で7000円~8000円くらいです。

③治験コーディネーター

新薬の開発の際に、被験者に薬を投与して反応を見ます。治験製薬会社の人に加えて医師や看護師、薬剤師などがチーム体制で取り組みます。製薬医会社から多額の費用が出るため時給も高く、3000円に迫ることもあります。

治験コーディネーターとしての准看護師の仕事は、被験者の様子を観察し何かあった場合の対応をします。何も起きないのが治験の原則ですので実際に副作用などが出ることは稀です(本来、治験は何も副作用が出ないことを確認するためのものです)。

④イベントナース、ツアーナース

何か大きなイベントや旅行などの際に帯同する看護師です。拘束時間が長かったりしますが、何もなければ参加者と同じように楽しむことができます。

ツアーナースの場合、2~3日の拘束で40000円~60000円が相場です。もちろん仕事ですから旅行費用や交通費は発生しません。


このような働き方は、派遣だからこそできるものです。自分のプライベートなども考えて効果的に稼ぐことが可能になります。

もちろん、普通の介護施設や紹介予定派遣で働くこともOKです。なお、仕事によっては正看護師>准看護師という待遇の場合もあります。そこは本来的に別の資格ですので仕方がないものと割り切ってください。


高単価の派遣の仕事を探すためには看護師専門求人サイトを利用



高単価で単発の准看護師の仕事をはじめ、紹介予定派遣の仕事などは看護師の仕事を専門的に行っている求人サイトに多く集まります。通常の求人サイトにもないことはないですが、看護師専門のサイトのほうがより求人数は多くなりますし、さまざまな求人が集まります。

准看護師も同じサイトで求人を受けることが可能です。単発、定期のお仕事双方ありますし、信用がある求人サイトならば「掘り出し物」的な案件もあります。

ともかく登録していただいて、どのような求人があるのかを知ってください。看護師専門の求人サイトは実績もあり、より安心して仕事を探すことができます。


まとめ

  • 大前提として、病院など医療施設で定期的に准看護師が働くことには制限がある
  • ただ、紹介予定派遣という方法で働くことができ、実際はそれが抜け穴になっている
  • 看護の求人はそもそも多いので、安定して働きたいのであれば正規雇用のほうがいいし、就職も難しくない
  • 派遣は時間を有効に利用したいなどライフスタイル重視の働き方で、看護の仕事は時給が高いのでそれでも十分に生活は可能
  • 検診やイベントナースなど派遣だから可能な高収入の単発の仕事も多い
  • そうした仕事を紹介してもらうためには実績のある看護師専門の求人サイトに登録したほうがいい

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