准看護師がキャリアアップをする3つの方法
准看護師の方がキャリアアップを目指す場合、どのような方法があるのでしょうか。
キャリアアップとは主に「地位の向上」と「給与の向上」の2つ視点から考えられます。看護師には正看護師と准看護師という2つの資格があるため、どうしてもカリキュラムが少ない准看護師は、低く見られたり待遇で差をつけられがちです。
それを挽回していく方法についてここでは考えていきたいと思います。
准看護師は役職に就きにくく収入が上がらないという現状
まず、ステップアップを考える前に准看護師が置かれている現状について把握しておきましょう。実際にはほとんど変わらない仕事を行っているのに「なぜ」と思う人もいらっしゃるかと思いますが、これが現実であります。
収入について
正看護師と准看護師とでは(個人の差はありますが)平均すると、やはり正看護師のほうが収入が高くなっています。
ある調査では、女性の正看護師と准看護師の年収の差は以下のようであるといわれています。
正看護師 | 准看護師 | |
---|---|---|
20代 | 423万 | 323万 |
30代 | 473万 | 359万 |
40代 | 516万 | 415万 |
50代 | 522万 | 448万 |
平均 | 469万 | 360万 |
男性の場合はそれプラス20~30万円となっています。 これを見ていただいてお分かりのように、正看護師と准看護師とでは年収に約100万円の差があります。同じような仕事をしていて100万円の差。これは大きいですよね。
また、この差が生じている理由として「看護加算」という制度があります。簡単にいいますと、正看護師が医療行為を行っていると、診療報酬(患者さんへの請求も含めて)が加点されるのです。病院が儲かるんですね。ですので、特に大病院などは正看護師を積極的に採用したがるという背景もあります。
看護加算の分、正看護師に還元されているとみることもできますね。ちなみに、診療報酬の部分では、准看護師は「看護師」ではなく「看護職員」というカテゴリーなんですね。結構ショックですよね・・・。
地位について
さて、給与についてはこのように厳然とした差があるわけですが、病院内での地位はどうでしょうか。これもすべてを一般化していえることではありませんが、やはり正看護師の方のほうが役職に就ける可能性は高いようです。
病院には「看護部長」や「主任」といった役職があり、責任も大きいのですがそれだけやりがいのある仕事でもあります(もちろん、それに合わせた「手当」も付く場合が多いです)。しかし、准看護師の場合はなかなかそうした地位に就くことは難しいといわれています。
可能性はゼロではありませんが、同じ職場に正看護師と准看護師がいて、能力的に同じくらいだった場合は、やはり正看護師のほうがそうした地位に就きやすいというのは事実だと思います。
このように正看護師と准看護師にはそれだけで差があるということを理解していただいたうえで、それに甘んじずキャリアアップを図ろうとする准看護師の方には何ができるのかを考えていきましょう。
<関連記事>:准看護師と正看護師の違いって何?
キャリアアップする3つ方法
それでは具体的に、准看護師の人はどうやってキャリアアップをしていけばよいのか考えていきたいと思います。ここでは大きく3つの視点から、その方法についてお話していきますね。
正看護師へキャリアアップ
いちばん直接的な方法は、准看護師から正看護師へと「転職」することです。もともと、正看護師と准看護師は別の資格ですが、次の方法で正看護師へと転換することができます。
1.看護師学校で学び直す
准看護師のカリキュラムでは足りない部分を看護師学校で勉強します。ただし、学校に通う必要がありますので、准看護師をやりながらだとけなり難しいハードルになります。
全日制:2年課程 定時制:3年課程
があります。定時制は働きながらでも通うことは可能でしょうが、やはり負担はかなりのものになります。看護学校の過程を修了したのち、あらためて正看護師の国家試験を受けて合格すれば正看護師になれます。
2.実務経験10年以上の場合
准看護師として看護業務の実務経験が10年以上ある人の場合、看護学校の「通信課程」を受講して、その後国家試験に合格すれば正看護師になることができます。
1で書いたものは実際に学校に通う必要があるのに対して、こちらは通信講座ですのでスクーリングの日を除いては、学校へ行く必要はありません。空いた好きな時間を利用して勉強することができるというわけです。
お勧めなのはこちらの方法です。准看護師としての実務経験を評価してもらえるため、これまでの自分の仕事に対しても自信を持つことができます。このようにして、正看護師への転換を図るのがキャリアアップ1つ目の方法です。
<関連記事>:看護師の転職先、重視する条件は?
常勤准看護師へのキャリアアップ
2つ目の方法は、これまで非常勤(パートタイムなど)で働いていた准看護師の人が、常勤(フルタイム)での勤務に切り替える方法です。子育てなどをしている間は、非常勤のほうが働きやすいのは事実ですが、子育てが一段落した場合などで、よりキャリアを求めるのであれば、常勤になるように動いていきましょう。
同じ病院内で常勤に転換できるのであれば、それでもいいですし、それが難しいのであれば新しく常勤で雇ってもらえるところに転職をすることになります。
注意していただきたいのは、常勤になれば何らかの役職に就くことが可能になったり、収入の面でも時給換算から月給換算になり、トータルでの収入は増えることになりますが、合わせてそれだけの責任もついてくるということです。
非常勤の場合は、決められた時間、決められた曜日の勤務だけでよかったものが、常勤になれば夜勤をする必要が出てきたり、休日もローテーションで決まった曜日に休めないということも覚悟しないといけません。
そうしたものをなるべく避けたいのであれば、大病院ではなく街の小さなクリニックなどのほうがいいと思います。そこならば、そもそも夜勤はありませんし、休日も決まっています。ただし、そこでの待遇がパート待遇のみの場合もありますので、事前に確認する必要があります。
病院以外の場所へのキャリアアップ
准看護師を必要としているところは病院だけではありません。高齢化が進行する中では介護施設や老人福祉施設での看護師資格保持者の求人が増加しています。
また、企業や学校、大学、地方自治体の中にも、看護師としての知識を活かせる求人があります。健康や医療に詳しい人の活躍の場は、何も病院に限ったことではありません。
このような病院以外の職場の場合、業務内容は看護に限定されるものではありません。介護施設では、実際に入居者の介護やリハビリに付き添ったり、体を動かしてその人たちを運ぶという肉体労働も避けては通れません。
逆に、企業、学校や自治体の場合はどちらかというと看護実務というよりも、その知識を活かした企画の立案や、相談業務など事務的な内容が増えます。
人には向き、不向きがありますので、このような看護以外の仕事が入ってくることで、ご自身にとってやりやすいのかどうかは事前によく判断してください。
待遇面ですが、介護施設などでは常勤の職員として雇用される場合が多いですが、自治体などでは非常勤の場合もあります。企業などで正社員として採用されればこれは非常に安定した生活につながりますが、そうなってくるとより看護以外の仕事をやる可能性が出てきますので注意してください。
病院以外へのキャリアアップの場合は、看護業務以外の仕事が必ずついてきて、それを自分ができるのかどうかを判断していただくことになります。
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キャリアアップのために転職サイトを利用
正看護師への転換は別ですが、常勤への転換や、病院以外への転職の場合は、看護師専門の求人サイトを利用していただくのをお勧めします。なかなか、外部との接点がない場合、転職も大変です。特に、病院以外への転職の場合は何をどうやったらいいのかわからないという人もいらっしゃるかと思います。
その場合、看護師向けの転職サイトに登録していただくと、ご自身の希望や待遇に見合った求人を効率よく探すことができます。
病院以外の職場の求人もあるため、それらを比較して、看護以外にどのような能力を求められているのかもわかります。登録だけならお金はかかりませんし、必ず転職しなければいけないということもありません。登録だけしてよい求人があれば、応募してキャリアアップすればいいのです。
ともかく少しでもキャリアアップを考えている准看護師の方は、転職サイトに登録だけでもしておくとよいと思います。
まとめ
- 准看護師と正看護師の収入、地位の差は歴然としている
- キャリアアップを図る方法は主に3つ
- 1つ目は准看護師から正看護師への転換
- 2つ目は非常勤から常勤への切り替え
- 3つ目は病院以外の職場への転職
- 転職サイトを利用すると、2つ目と3つ目がやりやすい